目から鱗の「いじめ対策」

いじめ指導の実践方法

 中学で指導部長をしております。いじめが起きた場合の対処は、このようにしています。長年の経験から得たものですが、「効果大」です。

(1)必ず、一人の教員ではなくチームで対応する。

現代のいじめに対して、担任1人に任せるのは無理です。

(2)「この事態を心配している人から報告があった」

 本人、親、友人など報告者が誰であったとしても、加害者には、「この事態を心配している人から報告があった」で統一する。「チクった」と言って報復したり、加害者やその親が「誰がそんなこと言った」と言いがかりをつけたりということを防止するためにも教員側の対応を統一しておくことは大事だと思っています。

(3)同時に呼び出し、15分の事情聴取をする。

 複数の教員が同時に、別の部屋で1対1で対応する。この聞き取りで、各加害者の発言には矛盾が生じます。

(4)加害者の発言を検討し、いじめ事実を確定する。

 15分の聞き取りの後、部屋に加害者を残して、教員が再集合し、情報交換・矛盾点の分析を行う。それを基に再度、15分の聞き取りを行う。「聞き取り」を繰り返し、事実を確定してゆく。

(5)加害者に「いじめの事実」を認定させる。

 いじめ事実の全体像がつかめたところで、加害者に「いじめ」を認めさせる。

しかし、これですませると、報復や、クラスでのしこりがのこるで、ここからの詰めが重要です。

(6)加害者に、反省の涙を流させる。

 中学生ともなると、叱ったり脅すだけでは、泣くまで反省することはありません。

 反省する、泣くところまで行くには、秘訣があります。

 それは、加害者ががんばってきた、つまり、部活動や体育祭・文化祭などを思い出させ、評価し、輝く未来を展開してみせ、教師も期待していたことを伝える。その上で、「なのにお前は、今、何をやってるんだ」、「がんばっていたおまえはどこに行った?」と話しかける。そこに反省の心が生まれます。泣くところまで行くと、報復とか、再発するということはありません。

(7)謝罪

 いじめの事実を認め、泣くまで反省した加害者は、通常、すぐに被害者に謝りたくなるのですが、私たちは、すぐ謝らせることはしません。すぐに謝るのはすっきりはしますが浅いままになってしまうからです。加害者に、考える時間を与えることでより深い反省に導きます。少なくとも一週間の時間を置いてから被害者に対して「謝る」ことを許可します。

 被害者にとっても、加害者から謝ってもらうことは傷ついた心を癒す大切な機会です。

(8)保護者を交えて、いじめの事実を報告する。

 保護者に知っていただくことは、教師が家庭、地域と連携して子どもたちを教育していく上でとても重要です。また、さまざまな事柄を隠すのではなく、正しく報告するとは、子どもを預かっている学校の責任でもあります。

http://mamoro.org/school/school-practices
昨日、教師をされている患者さんから聞いたのですが、これはすごいですよ。

諏訪中学校の伏見之孝先生が実践されている、いじめ指導。

目から鱗です。

まず(1)のチームで動く、という点は教師が一番苦手なことかもしれませんね。それさえ克服すれば、あとは実践しやすいことばかり。校長の主導で導入されれば、みんな動きやすいとは思いますが、、、

(6)は教師の力量・人間力が試されますが、加害者もちゃんと見るという経験にもなると思います。
くさいようですが、刑事ドラマが勉強になりますね(カツ丼方式)。

警察と学校はちがいます。
ただ泣かせればいいというものでもなく、罰を与えればいいというものでもなく、もう少し突っ込んで『なぜ、いじめるのか?』まで見えてくるといいかもしれません。

被害者救済においては即効性があってよい方法だと感じました。

ひとつ残念なことはこういったすばらしい実践も、その学校だけで終わってしまう。

他のクラスのことで仕事は増えるけど、一人に負担を強いるのではなく、チームで動くことで、いつその立場になるかわからないので、お互い楽になる。

これを実践したところで、特に問題になりそうなこともないし、逆に平和的な解決が増えそうなんだけど?

【諏訪モデル】として、長野県の教育委員会は取り入れて欲しいなぁと思いました。

これを基盤に実践例や出てきた問題点を改善して、新しいモデルになっていくといいかもしれませんね。

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