ここ数ヶ月、ピロリ菌の除菌をしてから、不調になりましたって方がチラホラ来院されてます。
薬疹(湿疹)、便秘、逆流性食道炎・・・これらは除菌療法の副作用ですが、病院でも手を焼いているケースが多くて、こちらに駆け込まれたみたいな。
そんな中、ピロリ菌の共生説の記事をみつけました。
絶対と思われている知識は非常に不安定で、いつひっくり返るかわからない・・・
先日も脳内リンパ管発見のニュースを書きましたが、ピロリ菌は実はいいやつだったのでは?という話。
ニューヨーク大学の微生物学者マーティン・ブレイザー博士によると、
1.ピロリ菌を除菌すると、胃がんになる確率は低減できるが、食道がんになる確率を上昇させてしまう
※食道がんの方が、胃がんよりもずっとやっかいな癌2.ピロリ菌はマイルドな胃痛を起こして、食べ過ぎを抑えていた
3.加齢と共に薄くなる胃粘膜を守るため、ピロリ菌は胃酸の分泌も抑えていた
4.ピロリ菌を除菌した50代以降の人に、逆流性食道炎に罹る人が増加
他にも、こんな発言もされています。
『ピロリ菌は、食欲を増進させるホルモンのグレリンの調整の手助けもすることもわかった。グレリンの働きを抑えるピロリ菌がないと、人間は「食べるのをやめろ」という合図を見逃してしまうかもしれない』
パッと読むための見出し
ノーベル賞まで受賞
ピロリ菌を発見して、胃潰瘍との因果関係を証明したロビン・ワレン博士とバリー・マーシャル博士は、2005年にノーベル賞(生理学)を受賞されています。
日本でも胃炎に対するピロリ菌除菌は保険適用にもなっています。
マーチン・ブレイザー博士もノーベル賞まで受賞した「ピロリ菌悪玉説」を上書きできないと嘆いています。
悪い菌なら身体は排泄しないの?
腸内細菌の研究では、腸内というのはとても激流で、普通は細菌が留まっていられない。
どこに住んでいるかというと腸の粘膜。
しかも、この粘膜に入って良いよと許可しているのは身体の方なんです。
ある特定の腸内細菌がいないと、潰瘍性大腸炎になることがわかって、腸内細菌を移植すると数日で完治してうことがわかったり。
見事な共生関係がわかってきました。
胃酸の海の中で、それまで菌など住めないとされてきた中で、ピロリ菌がいる意味は?
ちょっと雑菌が入っただけで、嘔吐や下痢を起こすのに、ピロリ菌はじわじわ潰瘍ができるまで、住まわせているなんてあるかなぁ?と。
他にも、カンジダ菌やヘルペスも、消化器が疲弊すると出てきますが、それ自体を悪者とすると抗生剤や抗ウィルス剤となるわけですが、お知らせとしてとらえれば、それは当たり前の話。
胃痛や胸やけを起こして助けてくれている、ピロリ菌の共生説の方がしっくりくる感じです。
今後の研究が楽しみですね。
※参考